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雪も降らないバリからお届けしたい「幸福の王子」12月24

ちょうど1年前の、クリスマス迎える頃だと思います

定期的に送られてくるメールマガジン(かなり中身の濃い記述を読む事ができます)

さーと目を通すときもあれば、じっくり読むときもあります。

その時送られてきた記事に、グッと引き込まれ、
なんともハラハラと泣きました。

それはアンデルセンの童話
「幸福の王子」の物語でした

 

この「幸福の王子」を曾野綾子さんが
新たに翻訳された話から「幸福の王子」の物語の持つ
深い内容に改めて発見された事を書いておられました

アンデルセンの童話は、
「マッチ売りの少女」や「幸福の王子」のように
雪が降る寒さの厳しいなか、胸に迫る、哀しくも美しい物語を思い浮かべますね。

南国のバリでは決してうまれない物語

 

心に残り離れなかった記事だったので、

南国の雪も降らないクリスマスのこの時期に

バリから皆さんに、お届けしたいと思います
 
ある町に「幸福の王子」の像が立っていました。全身が金箔におおわれ、眼は二つの光り輝くサファイアで、刀の柄には赤いルビーがほどこされた美しい像でした。そこに一羽の小さなツバメが飛んできます。冬を避け、暖かなエジプトにすでに旅立った仲間たちを追いかけている途次でした。ツバメは王子の足元に降り立ち、一夜を過すことにします。ところが、上から一滴、二滴と「雨」が落ちてきます。それは、王子の涙でした。

 悲しみに頬を濡らした王子はツバメに頼みごとをします。「かわいいつばめ君。私のために、ここに一晩いて、お使いをしてくれないか。貧しいお針子の母と病気の男の子のために、刀のルビーを届けてくれないか」と。ツバメはルビーを嘴にくわえて、それを母子のもとへ運びます。

 翌日、エジプトに旅立とうとしたツバメを王子は引き止めます。寒さに震え、空腹で気を失いそうになっている若者のところへ、自分の眼のサファイアを抜き取って届けてくれないか、と。さらに、役目を果して戻って来たツバメに、王子はこう命じます。「下の広場にいるマッチ売りの哀れな娘に、私のもうひとつの眼をえぐり出して、やってくれないか」——。

 こうして王子は哀れな姿になりました。ツバメは言います。

「あなたはもう何も見えない。だから私はあなたといっしょに、ずっとここにいます」
「それはいけない、つばめ君。君はエジプトへ行かなくちゃいけない」
「私はずっとおそばにいますよ」

 王子はさらに、自分の全身をおおっている金箔を一枚ずつはがして、貧しい人たちに配るように言いつけます。やがて雪が降り、続いて寒波が襲ってきます。ツバメは死期が迫ってきたことを悟ります。最後の力をふりしぼって王子の肩まで飛び上がり、小さい声で語りかけます。

「王子さん、さようなら。あなたの手にキスしてもいいですか」
「つばめ君、とうとうエジプトへ行くことになってよかったね。君はここに長くいすぎたもの。でも君が好きだから、キスするなら、唇にしてくれないか」
「僕が行くのはエジプトじゃないんです。死の家に行くんですよ。死というのは、眠りの兄弟ですよね。違いますか?」

 こうして、ツバメは王子の足元に落ちて死んでいきます。するとその時、王子の鉛の心臓がぴしっという音をたてて、ふたつに割れます。翌朝、すっかりみすぼらしくなった王子の像は、心ない市長たちによって引き下ろされ、炉に入れて溶かされます。けれども、不思議なことに割れた王子の心臓だけは、炉の中でも溶けません。鉛の心臓はツバメの死骸とともに、ゴミの山に放置されます。

「この町で、一番尊いものを二つ持ってきなさい」——天上の神様が天使の一人にそう告げます。天使が割れた心臓とツバメの死骸を持ち帰ると、神様は言いました。

「お前はいいものを選んだ。私の天国の庭では、このつばめは永遠に歌い続けるだろうし、私の黄金の町で『幸福の王子』は、ずっと私と共にいるだろう」

 

 自己犠牲をも厭わない無償の人間愛の物語として、いまなお胸に迫ります。

 

 

〈私たちは現代の生活でしきりに同感や連帯を口にするが、現実に命を捧げるということまではほとんどしない。考えもしない。幸福の王子とつばめはその愛の本来の厳しい姿を完成した。誰にも知られず、誰にも感謝されずにであった。
 だから天使が神から「この町で一番尊いものを持ってくるように」と命じられた時、天使は、命をかけた愛とその真の意味での同情者を選んだ〉(曽野綾子「あとがき」)

 曽野さんはさらに、「どの作家にも、この一作を書き終えたら死んでもいい、と思う作品があるはずである。もし私がオスカー・ワイルドなら『幸福の王子』はその作品だ」と言います。

そして、「もし一人の人間が生涯でたった一冊しか本を読まなくなり、それも聖書のような或いはドストエフスキーのような重く長い作品は読めないということになったら、その時、そのたった一冊に選ぶのは、私なら『幸福の王子』だ」と。

 

 

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